第3回 粒子法の大きさと質量について | 粒子法入門

今回のコラムでは、粒子法の質量と体積についてお話します。粒子法では、図1(a)のような水槽の中の水を、図1(b)のように流体粒子の集合で表します。例えば質量100kgの水を100個の粒子の集合で表すと1つの流体粒子の質量は1kgとなります。より小さな粒子の集合で表すと、それだけ複雑な流れを表すことができるようになります。ただし、そのぶん粒子の数が増え、計算量の増加に伴い計算時間も長くなります。

粒子の大きさは、表したい現象を再現できる程度に小さく、かつ計算時間が許容範囲になる程度になるように定めます。通常このような最適な粒子の大きさは分かりませんので、まずは大きめの粒子で試計算を行って現象を再現できているか確認し、必要であれば徐々に小さな粒子にしていきます。

(a)実際
(b)粒子による表現​

図1 水槽内の水を粒子で表す際の概念図

各粒子はこの定数の質量を持つとして計算しています。粒子を消したり新たに発生したりしなれば粒子の数は変わらないため、粒子の総質量も局所的な質量も変化しません。そのため、流入境界や流出境界がなければ粒子法では質量は厳密に保存されます。この質量が厳密に保存される特徴は、粒子法の大きな長所の1つです。

流体全体の体積は、おおよそ保たれます。質量の場合とは異なり完全には保存しませんが、実用上問題の無い程度に体積を保つことができます。これは、流体の体積がほぼ変化しないよう粒子の位置座標を修正する処理が行われるためです。この位置修正には、圧力の勾配が用いられます。

参考文献:

  1. 越塚誠一、柴田和也、室谷浩平、”粒子法入門”、丸善出版、2014年6月25日

著者ご紹介

東京大学大学院 工学系研究科
システム創成学専攻 准教授
プロメテック・ソフトウェア技術顧問
柴田 和也 先生

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2007年
東京大学大学院 工学系研究科
システム量子工学専攻 博士課程修了 博士(工学)

2007年
(独)海上技術安全研究所 入所
​海の10モードプロジェクトチーム研究員

2009年
東京大学大学院 工学系研究科 システム創成学専攻 助教

2013年
東京大学大学院 工学系研究科 システム創成学専攻 講師

2017年
東京大学大学院 工学系研究科 システム創成学専攻 准教授